2012年9月22日土曜日

村田活彦 poetry reading ソロライブ 2012秋

清澄白河を流れる掘割、小名木川が隅田川に接続するポイントにかつてあった深川芭蕉庵は『奥の細道』の出発地です。その一角にあるそら庵は、木造の印刷工場を改装した、インクの匂いの残るカフェ。村田活彦さんのソロライブで受付と物販のお手伝いをしました。

5月の「新・同行二人」では、ギターの生演奏をバックに朗読していましたが、今回は自作の打ち込みトラックを全編に使用。これが、70~80年代のブラックコンテンポラリーをベースにした緻密なつくりのもので、とてもオーソドックスであることが、リーディングの特異性を引き立てていました。

村田さんの声は、明るく、良く通り、色気があって、滑舌が良く、朗読の技術も確かなので、ひとつひとつの言葉がきちんと聞き取れます。ヒップホップのグルーヴとも散文朗読の流れの心地良さとも違う、何か過剰に農耕民族的とでもいうような響きがあり、その異物感、滑稽味が特徴です。囃子のリズムに乗せた「星まつり」で特にその感じが際立っていました。

技術があるがゆえに無難に流れてしまう部分もあるのですが、「Tシャツのこと」の終盤にピアノの旋律とユニゾンで「ラララララランラン、ランラランララン」と鼻歌のような心許ない声で唄うところ、「詩人の誕生」でめずらしく噛んで言い澱むところ、急に素に帰るそんな場面が妙にリアルで、記憶に残りました。

トラックを収めたiPod nanoの選曲をするときのカタカタいう音、モータードライブのシャッター音、上階のfukagawa bansho galleryを歩く頭上の足音、窓の外のカモメの鳴き声。朗読以外のいろいろな小さな音にも耳をすませた約100分のパフォーマンスでした。

そんな村田活彦さんと僕が共演するライブが、前回エントリーでご紹介した"Poemusica Vol.10"の2日後、10/20(土)にもうひとつ。下北沢Lagunaで開催されるミュージシャンによるスポークンワーズと洋楽の邦訳カバーがテーマのライブ"Naked Songs"のオープニングアクトを務めます。どうぞよろしくお願いします!

 

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