2012年6月9日土曜日

ミッドナイト・イン・パリ

大傑作。雨の土曜日。梅雨入りした東京の最高気温は20℃。有楽町マリオン9F丸の内ピカデリーで、ウディ・アレン監督作品『ミッドナイト・イン・パリ』を観ました。

1980年代までの作品はそれなりに追いかけていたのですが、ウディ・アレンの映画を観るのはショーン・ペンが主演した 『ギター弾きの恋』(2001年日本公開)以来です。

オーウェン・ウィルソン(左利き)演じるハリウッドの脚本家ギル・ペンダーが2010年に婚約者と訪れたパリで、1920年代にタイムスリップします。タイムマシンは古いルノーのタクシー。最初の夜はゼルダとスコット・フィッツジェラルド夫妻にジャン・コクトーのパーティへ連れて行かれます。そこでピアノ弾き語りをしているのがコール・ポーター。パーティを抜け出して行ったカフェでひとりワインを飲んでいる無精髭のアーネスト・ヘミングウェイ。全編そんな感じのお話です。

ガートルード・スタインパブロ・ピカソアンリ・マティスサルバドール・ダリマン・レイルイス・ブニュエルT.S.エリオット。更に1890年代へ馬車でタイムスリップした先には、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックエドガー・ドガポール・ゴーギャンも登場し、このへんまで来ると俳優が役名を名乗るだけで映画館内爆笑。よくモノマネで「こんばんは、森進一です」みたいのあるじゃないですか。あれに近い。

次々に画面に登場する有名人たちのキャラ設定がベタでわかりやすい。フィッツジェラルドは洒脱で気弱、ヘミングウェイは常に暑苦しく、ダリはサイの話しかしない(笑)。

そのヘミングウェイが「移動祝祭日」と呼んだ1920年代のパリ。第一次世界大戦と世界大恐慌に挟まれたつかの間の輝き。もちろん、エンドロールに名前が載る一流有名人だけではなく、芽の出なかった芸術家もいれば、労働者もいたはず。でも、あえてそこには目を向けず、シンプルな筋立てに徹した演出がお見事。ザッツ・エンターテインメント。映画館の暗闇でスクリーンに向き合う時間ぐらいは、現実を忘れたっていいじゃない?

2010年も、1920年も、1890年も、パリの街並みはいつも美しい。ヘミングウェイが通ったカフェはコインランドリーになってしまったけれど、それ以外で変わったのは、人々の服装と自動車ぐらい。あと、ウディ・アレンの映画はいつも上映時間がちょっと短めで、この映画も約90分です。コメディは少々コンパクトで、もうちょっと観たいなっていうぐらいがちょうどいいな、と思いました。


 

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