排水溝に雨水を落とすパイプから顔を出す子猫。カタールの首都ドーハは雨のほとんど降らない砂漠の都市。街頭のスピーカーからコーランが響き、駱駝に乗ったターバンの男たちと超高層建築が同居する。夜の路上を徘徊するひどく瘦せこけた野良猫たちに、仕事を終えたパキスタン人の施工管理技士ウマイルがキャットフードと安全な水道水を配っている。
画面は急に明るくなり、星条旗を映す。客室乗務員のケイティは航空機操縦士の妻でティーンエイジャー2人の母親。ウィスコンシン州ミルウォーキーで猫カフェSIP & PURRを経営し、過去に国内外から1390匹の保護猫の譲渡を仲介している保護活動家でもある。航空会社のコールセンターに電話を掛け「ドーハからシカゴに猫を25匹搭乗させるカーゴの代金を支払いたい」と言うとオペレーターは絶句する。
25基のクレート(運搬用ペットキャリー)と共にハマド国際空港に降り立ったケイティがウマイルと協力して、4日間の滞在で25匹の野良猫を保護するために奔走する様子を追ったドキュメンタリー映画です。
世界有数の富裕国カタールの人口は300万人。その89%は外国人が占める。急速な経済発展を支えるために雇用され渡航して来た出稼ぎ労働者たちが、スーク(常設市場)のペットショップで子猫を買い帰国時に捨てる。人口とほぼ同じ300万匹の野良猫がいるという。
300万匹のうち25匹なので、比率にしたら僅かなものですが、救われる猫が一匹でも増えればという強い気持ちで動くケイティ。命に軽重はないのに「選ぶ」という行為が付随してしまう。現地の保護活動家たちを訪ね、保護されている多数の猫のうち連れ帰る数匹を選ぶ。スークに出掛け、無数の野良猫たちの中から数匹を選んでクレートに収納する。
そこには選ばれなかった者が存在する。保護する側にも観客である我々にも葛藤は生じると思います。ケイティは帰国後に里親を探すにあたり、引き取り手がつくような猫を選ばなくてはならない。救いは、その基準が容姿や描種や健常さだけではなく、フライトに耐える最低限の体力は必要だが、事故で四肢や視力を失った猫やFIV(猫エイズ)陽性の猫、栄養失調の猫など、路上で生き延びることが困難な猫たちが多く選ばれていることです。
印象に残ったのは、ドーハの保護活動家たちの国籍が、インド、ヨルダン、シンガポール、フィリピン、ほか多岐に亙ること。イスラムの戒律の関係なのか、カタール人は獣医師しか登場しません。25匹の予定が、スークでクレートを買い足して27匹と帰国、その後妊娠していた雌猫レディが4匹の赤ちゃんを産んで、結果的に31匹になりました。障害を持つ猫も含めその多くは、ミルウォーキーとその周辺に暮らす富裕な白人家庭に引き取られました。


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