2025年9月27日土曜日

レッド・ツェッペリン:ビカミング

秋晴れ。TOHOシネマズ日比谷バーナード・マクマホン監督作品『レッド・ツェッペリン:ビカミング』を観ました。

機体にLZ129と記された飛行船ヒンデンブルク号の墜落を知らせる1937年のニュース映画。そしてナチスドイツの台頭、ノルマンディ上陸作戦、パリ解放、第二次世界大戦終結。白黒の報道映像から "Good Times Bad Times" のイントロが始まる。レッド・ツェッペリンの4人のメンバーは1944~1948年に生まれた。

ギターのジミー・ペイジは十代のうちからロンドンでスタジオミュージシャンとして The KinksThe Rolling StonesThe Whoなど、メジャーな作品に関わっていた。ベースのジョン・ポール・ジョーンズ(ジョンジー)も同業で、二人は『007ゴールド・フィンガー』の主題歌でも演奏している。ボーカルのロバート・プラントは窃盗で食いつなぎながら住所不定の暮らしをしていた。ドラムのジョン・ボーナムはプラントのハイスクール時代の友だち。

ギタリスト仲間のジェフ・ベックに誘われ、サイケデリック・ブルース・ロック・バンドのヤードバーズに加わったペイジだが、ある日のミーティングで解散を告げられる。スタジオミュージシャンとしてショッピングモールのBGMを1日何十曲位も録音するのにうんざりしていたペイジは自分のアイデアを形にするバンドメンバーを探し始める。

1970年代のイギリス音楽界を代表するロックバンドの結成から2ndアルバム "Led Zeppelin Ⅱ" 、続くロイヤル・アルバート・ホールのライブによって本国でブレークするまでを存命の3人の現在の映像と1980年に亡くなったドラムのジョン・ボーナム(ボンゾ)のインタビュー音声で辿るドキュメンタリーフィルムです。

「飛行機に乗ったら、銀器、ジントニック、人間、今まで盗んでいたものが目の前にたっぷりある。ママの元にはもう戻れない」(プラント)。1968年9月、デンマークのグラズサクセ市のティーンクラブにおける初ライブ演奏からヴァニラ・ファッジと回った空席の目立つ全米ツアー、サンフランシスコのフィルモアで初めてソールアウトしたライブの対バンはカントリー・ジョー&ザ・フィッシュタージマハルだった。

ペイジもプラントもジョンジーもボンゾのインタビュー音声を聞かせると表情が緩みます。懐かしさと友情と親愛の混ざった3人の表情だけでこの映画を観る価値がある。あとジミー・ペイジの声が意外と高いです。

シングルカットをせず、MVも制作しなかったレッド・ツェッペリンの公式映像は少なく、貴重なフッテージとライブ音源がデジタルリマスタリングで超クリアになったのは現代のテクノロジーの恩恵。ジョン・ポール・ジョーンズはレッド・ツェッペリン加入前はFender VI(6弦ベース)を弾いていたとか、初全米ツアーでボンゾはメインアクトのカーマイン・アピスの手癖を真似ていたとか、『レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ(The Song Remains The Same)』を飯田橋や池袋の名画座で繰り返し観た十代の自分に教えてあげたいです。

エンドロールで流れるエディ・コクランのロカビリーナンバー "C'mon Everybody" と "Somethin' Else" のカバーの4人のテンションと音圧は異常。席を立たずに最後まで聴きましょう。

 

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