金曜日。高校のホッケーの授業で「全然動かない」と非難されたミンミ(アーム・ミロノフ)は同級生にキレて、手にしたスティックで彼女のすねを打ち、体育館を出る。放課後、ミンミを宥めるロンコ(エレオノーラ・カウハネン)。ふたりは同じスムージー店でアルバイトする親友だ。
その店にフィギュアスケートのヨーロッパ選手権出場を目指すエマ(リンネア・レイノ)がやって来る。優柔不断でオーダーを決められないエマをミンミがからかい、怒るエマ。その夜、同級生宅のパーティで再会したミンミとエマ。ふたりでパーティを抜け出しクラブで踊る。おたがいに一目惚れだった。ロンコは毎週末違うイケメン男子といい感じになっても、いつも言動がズレていて引かれてしまう。アセクシュアルを自覚しつつあるが、まだ性にも興味があり揺れている。
真冬のフィンランドの3つの金曜日と1つの土曜日をハイティーン3人を主役にして描いた本作。LGBTQ、クイア、フェミニズムがこの世代の行動様式のデフォルトとなっているのがわかります。クラブですこし年上のパリピに「女性アスリートをリスペクトしている」と言われて「女性って必要?」と噛み付くエマ。ハンバーガーを美味しそうに頬張りながら「酔ったときだけまだ肉なんか食べてるの」と笑うミンミ。
エマとの恋の成就に高揚しつつ、競技よりも自分との時間を選ぶエマに対してうしろめたさを感じるミンミ。複雑な家庭環境を背景に、鼻ピアスで周囲にもとがりまくる、繊細で多感で同時に粗野という役柄を撮影当時20歳のアーム・ミロノフがリアルに演じています。ロンコのイタさも時代こそ違えど我がことのように思い出して共感できました。
恋愛は上手くいかなくても友情は永遠。という青春映画の基本は押さえつつ、2023年らしいチャーミングな一本に仕上がっています。
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