2020年3月14日土曜日

星屑の町

みぞれ降るホワイトデーの午後。丸の内TOEI②杉山泰一監督作品『星屑の町』を観ました。

久間部愛(のん)には父親がいない。歌手を夢見て上京したが挫折し、岩手県の小さな町で母親(相築あきこ)が経営するスナックを手伝っている。

ムード歌謡グループ山田修とハローナイツの唯一のヒット曲は大阪市生野区の有線チャートで6位になった「MISS YOU」。リーダーでMC担当の山田修(小宮孝泰)の故郷でキティ岩城(戸田恵子)とともに歌謡ショーを開くために帰ってくる。前後のドタバタを描いた喜劇映画です。

オリジナルはコント赤信号ラサール石井と小宮孝泰が立ち上げた星屑の会の舞台作品。大衆演劇のフォーマットを丁寧になぞる笑いと涙の物語に誰もが知っている昭和歌謡の名曲をちりばめる。

山田修とハローナイツのメンバーはオリジナルキャスト通りとのこと。全員芸達者で、特にボーカル天野真吾役の太平サブロー師匠はけっして美声というわけではありませんが、心に残るハスキーボイスで歌も上手。のんが主人公というより、群像劇の色合いが濃いです。

映画化にあたりのんを起用したわけですが、フレッシュな演技はバラエティや報道番組でのハラハラさせる姿と表裏一体か。『あまちゃん』では猫背の印象が強かったのんですが、手足の長い長身がスクリーンにとても映えます。それと田舎道を自転車立ち漕ぎで全力疾走するのがやっぱり似合う。

愛の父親探しという物語の伏線は「もう振り返んのはやめだ」の一言で終わってしまうのですが、ハローナイツを出て行く真吾と入れ替わりに加入する愛のすれ違いが親子関係を示唆しているのでしょうか。

 

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