TOHOシネマズ上野で藤田春香監督作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』を鑑賞しました。
主人公ヴァイオレット・エヴァーガーデン(CV:石川由依)は元少女兵士。一切の感情を排し任務を遂行する訓練を受け戦績を上げたが、戦闘で両腕と最愛の上官を失ってしまう。戦後、ハイスペックな義手を得て手紙の代筆をするドール(自動手記人形)の職に就く。代筆を通じていろいろな人たちの感情に触れ、自身も感情を取り戻す。
というのが2018年冬クールに放送していた本編で、僕もMXTVの深夜放送を毎週録画していました。
今回の外伝は、デビュタントを控えた貴族ヨーク家の娘イザベラ(寿美菜子)に令嬢としての振る舞いを指導してほしいとドロッセル王家から依頼を受けたヴァイオレットが上流階級の全寮制女学校に3ヶ月間同室するところから始まるストーリーです。
「出会わない」という美学が物語全体に貫かれています。手紙に書かれた文字を媒介にした関係性に自らの行動を限定しており、物理的に近くにいてほんの数歩踏み出せば触れられるというときにあっても、文字という視覚情報に喚起される感情、それ以上は自制してしまう登場人物たち。幼い孤児テイラー・バートレット(悠木碧)にもその美学を適用することでより強調される。
本作は7月18日に起こった京都アニメーション放火事件の直前に完成しており、事件後最初の公開作品となりました。風に揺れる髪、膨らむスカートの裾、バスタブの湯気、スノードロップから落ちる朝露の雫、雪と白い息、石畳を灰色に染める夕立。京アニならではの繊細で優美な「あらゆる光の目録(©宮沢賢治)」を堪能できます。本作に関わり事件で亡くなったスタッフも多数いると聞きます。どうか安らかに。
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