8月に入って東京はようやく気温が上がってきました。シネ・ロック・フェスティバル2016。丸の内ピカデリー3で『デヴィッド・ボウイ・イズ』を観ました。
ロンドンの英国王立ヴィクトリア&アルバート博物館で2013年に開催された大回顧展 "David Bowie is"。デビューから2013年の "The Next Day" まで。キュレーター3人が展示を紹介する映画です。
1947年生れのデヴィッド・ボウイ(左利き)が幼少期に実際に使用した食糧配給手帖、十代のアマチュア時代に描いたライブ会場のパース画、1960~70年代の自筆歌詞、制作されなかった映画の絵コンテ、数々のステージ衣装、等々。膨大な物量の展示物を当時のエピソードやMV、来館者のコメントを交えて時系列で解説する。ゆかりのあるゲストが円形ステージでスピーチするギャラリートークが時折インサートされます。
「ボウイで検索すれば数十万の画像が表示されるが、映りの悪いものはひとつもない」。自己演出に心血を注いだ彼は、今年1月10日に69歳で亡くなっていますので、この回顧展もフィルムも最晩年、死期を悟ったボウイが自ら監修して、自らの望むかたちで残したかったのではないかと思います。
リンゼイ・ケンプやウィリアム・S・バロウズからの影響、ブライアン・イーノのThe Oblique Strategies。Against the system. 既成概念を常に覆しつつも、その一歩はあくまでもポップスターとして留まる。絶妙なさじ加減は天性のものだったのでしょう。
基本的に博物館内の映像で構成されており、サウンドトラックは既存のスタジオ盤からの選曲で、フルコーラスのライブ映像は3曲のみ。ですが、その3曲が素晴らしい。なかでも2001年54歳のときにグラストベリー・フェスティバルで演奏された "Changes" は、原曲よりだいぶキーが下がったな、と思いつつ、やはり心が震えました。
ゲストスピーカーでは、完全カタカナ発音のブロークンイングリッシュで通した山本寛斎も堂々としていてよかったですが、一番ぐっときたのはパルプのジャービス・コッカーの "David Bowie is one of us" という一言。
回顧展は2017年1~4月に天王洲アイルの寺田倉庫に巡回します。直筆の歌詞を見ながらヘッドホンで曲を聴けるコーナーは是非再現してほしいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿