4月に時々ある初夏のようによく晴れた日。下北沢Workshop Lounge SEED SHIPにて"Poemusica Vol.16"が開催されました。
黒髪のマッシュルームカットで華奢な身体に大きなエピフォンを抱えて登場したカネコアヤノさんは20歳。セミアコ・ギターの中音域を活かしたローファイなカッティングに乗せて、ノン・ビブラートで唄います。淡々と紡がれる歌詞は、思春期の自意識、世界との不協和をベースにしていますが、客観的なシニシズムがあってチャーミング。すこしねじれたメロディはトモフスキーやアンディ・パートリッジなんかの影響がうかがわれ、NW世代には懐かしい感じがしました。
静岡在住の唄子さん(画像)はガットギターの弾き語り。繊細な分散和音に乗せて、和テイストの旋律を静かに唄います。ひとつひとつの音符を丁寧に確かめるように進む演奏はタイム感が薄く、そしてどこまでも美しい。一見ゴシックに閉じた世界のように見えるのですが、昆虫や動物に心情を投影した寓話的な歌詞が時折ダイアローグに転じるところがあり、聴く人の感情移入を許容する構造を持っています。新曲「鯨の結婚式」は名曲。恋する乙女たちの共感を得るでしょう。
Little Woodyの『うな兄弟』も対話篇。うなぎの兄弟が、うなぎの身体がどうして黒いのか、という議論から、夜→夜空→宇宙→人工衛星、というシュールな展開を見せる快作。楕円の尾びれは神様の団扇なんだって!
僕は新詩集『新しい市街地』から5篇を朗読しました。今夜のPoemusica全体のイントロダクションとして「風の生まれる場所」「風の通り道」「風のたどりつく先」。そして、スナメリが宇宙ステーションを見上げる「声」「新しい感情」。
食卓に上がり人間に食べられる魚の気持ちを唄ったカネコアヤノさん、Little Woodyのうなぎと人工衛星、僕のスナメリと唄子さんの鯨。けっして濃くはないですが、細い糸を紡ぐようにライブ全体の流れが自然とできました。SEED SHIP土屋さんのブッキングの妙です。
そんなミラクルがさらっと起きるPoemusica。来月は「~すこしだけブルースが沁みる夜~」というサブタイトルが。僕なりのブルースを考えてみたいと思います。どうぞお楽しみに!
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Poemusica Vol.17 ~すこしだけブルースが沁みる夜~
日時:2013年5月23日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,300円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:栗田裕希 from大阪 *Music
アカリノート *Music
いわさききょうこ *Music
Little Woody *Animation
カワグチタケシ *PoetryReading
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