新しい年になりました。2013年もよろしくお願いします。正月三賀日には映画館の暗闇でひとりの時間を過ごすのが、ここ数年のならわしになっています。というわけで、ユナイテッドシネマ豊洲にてティム・バートン監督のディズニー映画『フランケンウィニー』を観ました。
米国郊外の町ニュー・ホーランドに暮らすヴィクター・フランケンシュタインは科学が好きで内向的な男子。自分で特撮映画を撮っています。ある日クラスメイトのフシギちゃん(英名:Weird Girl)の飼い猫が彼のイニシャル"V"型のうんちをしたことで「あんたの身になにか起きるわよ」と予言される。そして、ヴィクターが打ったホームランボールを追いかけた愛犬スパーキーは車に轢かれて死んでしまう。
両親には慰められるが「心の中なんていやだ。いつもいっしょにいたい」と、雷の夜、ヴィクターはスパーキーの死体をペット墓地から掘り起し、稲妻から電気ショックを与えて蘇生させることに成功する。そのことを知ったクラスメイトたちが、次々に死んだ動物たちを生き返らせる。
急進的なコンセプトで理科の授業を行いPTAから学校を追われるジグルスキ先生が、去り際にヴィクターに言います。「科学に善悪は無い。使い方次第だ。だから我々は慎重にならなくてはいけない」「誰もが科学の恩恵に浴している。だが、みんな問いを嫌う」。
愛情をもって蘇生させられたスパーキー以外の動物たちは、みな巨大化して邪悪なモンスターになり、町を破壊し始める。そのこと自体が文明批判にもなっています。スパーキーは切る前のたくあんみたいな顔だし、ティム・バートン描くキャラクターたちはディスニー映画としては異形ですが、 映画が進むにつれて日野日出志似の彼らがとても愛おしく感じられます。また、全編に流れるダニー・エルフマン(ex.Oingo-Boingo)のオーケストレーションも古き良き時代のB級ホラー映画へのオマージュとなっていて素敵です。
モノクロで3Dというアンバランスさもティム・バートンらしい。その色調とあいまって控えめながら効果的に画面に奥行を与えています。主人公の隣人でヒロインのエルザ・ヴァン・ヘルシングの声はウィノナ・ライダー。彼女の歌声をスクリーンで聴いたのは『17歳のカルテ』(1999)以来かも。精神病院の廊下でギターを弾いてアンジェリーナ・ジョリーと"Downtown"を唄うシーンがとても好きでした。
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