東京の木々の葉も色づきはじめ、下北沢Workshop Lounge SEED SHIPにて"Poemusica Vol.11 ~オリジン~"が開催されました。当初予定していた尾上文さんが、残念ながら事情があって出演できなくなりましたが、にもかかわらずクオリティの高いライブになったのではないかと思います。
先月に続いてLittle Woodyはバンドで登場です。キーボードのVi-Taさんとデュオで全編即興のインスト。ワンコードのリフレインが即興でさまざまに変奏され、空間を広げていきます。ウッディいわく「アンビエント」。でも、ちゃんとヒューマンな感触のビートもあって、躍動感溢れ色彩豊かなクラブ・ミュージックです。ふたりの掛け合いだけでなく、Rio Nakanoさんとの音楽と絵画のインタープレイも鮮やかでした。
松本暁さん。尾上文さんからのご指名で急遽代役となりましたが、そんなことは微塵も感じさせない堂々としたパフォーマンスでした。彼とオープンマイクで出会ったのは、もう10年ぐらい前のこと。ひさしぶりに朗読を聴きましたが、端正で男前な作風はそのままに、抑揚や表現力が増していました。印象に残る強いリフレインと、言葉選びに独特のユーモアがあり、それは僕が持っていないものなので憧れます。SEED SHIPをモチーフにした即興詩も見事でした。
蜂谷真紀さんの演奏は衝撃的でした。冒頭アカペラで架空の言語を用いた歌とも一人芝居ともとれるボイス・パフォーマンス。複数の異なる言語を持つ、いろいろな世代、性別、階級の人たちが乗り合わせた客船上でのやりとり。のように僕には聴こえました。声だけなのにものすごいグルーヴ感があります。そしてピアノ弾き語り。弾き語り、なんて簡単にカテゴライズすることが無意味な音楽。まさに「音楽」としかいいようがない、すごいもの。蜂谷さんの演奏が進むにつれRioくんの絵の陰影が濃くなっていくのも面白かった。
Poemusicaでは初めてのライブ・ペインティング。Rio Nakanoさん。オリジナルのイベントロゴからはじまって、赤のアクリル絵具で塗りつくされた抽象表現。そこから女性の顔が立ち現れたときは鳥肌が立ちました。今度は白いアクリルで塗りつぶされ、途中途中で仕込んだマスキングテープをはがすと、過去の地層のように重層的な色彩が現われ、最後はまた別のロゴへ。時間が単線的に完成に向かわない絵画が、音楽と言葉とたがいに影響し合いながら紡がれていきます。約2時間半のあいだにすくなくとも4つのコンセプトが表出しました。
僕は今日は、「チョコレートにとって基本的なこと」「無重力ラボラトリー」「星月夜」「ボイジャー計画」「バースデー・ソング」の5篇を朗読しました。来年出版予定の新詩集に収める作品群で『計画』というグループ名をつけています。それぞれの詩に蜂谷真紀さんがピアノやゼンマイ仕掛けのおもちゃを使って音をつけてくださいました。「星月夜」には元少女兵士の声で架空言語による同時通訳まで。これにはまいりました!
そんな11月のPoemusica。ご来場くださったお客様、それぞれの場所で気にかけてくれたみなさん、いつも新鮮で素敵なブッキングをしてくれるSEED SHIPの土屋さん、どうもありがとうございました!
12月のPoemusicaも金曜日。クリスマス・バージョンでお届けします。デートや光熱費の支払いやでいそがしい時期だとは思いますが、ぜひ皆様お誘いあわせのうえ、SEED SHIPにいらしてください!
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Poemusica Vol.12
日時:2012年12月21日(金) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
料金:予約2,300円、当日2,500円(ドリンク代別)
出演:Soulcolor*音楽
はらかなこ*音楽
平井真美子*音楽
Little Woody *映像
カワグチタケシ *ポエトリー
ピアニストの平井真美子さんとはPoemusica Vol.2以来の共演です。
いつもより開演時刻が30分早いので、ご注意ください!
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