晩秋の三連休初日。勤労感謝の日の東京は冷たい雨が降ったり止んだり。丸の内TOEI①で、坂本順治監督作品『北のカナリアたち』を観ました。
湊かなえの連作小説『往復書簡』を再構成したサスペンス・ドラマ。定年退職を迎えた図書館司書はる(吉永小百合)は、かつて教壇に立っていた利尻島の分校の生徒(森山未來)が殺人事件の重要参考人として手配されていることを知り、当時の教え子たちを訪ねて20年ぶりに北海道へ帰る。
東映創立60周年記念作品ということで超豪華キャストです。大人になった6人の生徒たちは、森山未來のほかに、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平。夫(柴田恭兵)の水難事故死の直後に島を去った先生に対して、それぞれがわだかまりを持って20年間生きてきた。
元々無理のある設定を、強引なストーリーテリングで読者を惹きつけ、意外性のある鮮やかな種明かしでカタルシスを提供する、というのがミステリーの基本的構造で、この映画にも当てはまるのですが、細部のつじつまが合わないところが多く思えて、物語に上手く乗れませんでした。
俳優陣の抑えた熱演と北の離島の厳しい自然を美しく捉えた木村大作のカメラが素晴らしいだけに、残念です。主演の吉永小百合は67歳とは思えない若々しさですが、髪型の変化だけで40歳に見せるのはさすがに厳しいのではないでしょうか。
子役たちの合唱はとても上手で心が洗われます。それと、20年前の悲劇の発端となったいさかいからずっと口をきいていなかった勝地涼と宮崎あおい(『少年メリケンサック』でもカップルを演じていた)が実はお互い想い合っていたことがわかったときに、宮崎あおいが「好き」と言うシーンにはきゅんとしました。
0 件のコメント:
コメントを投稿