2012年4月19日木曜日

Poemusica Vol.4

新緑がまぶしい季節になりました。街路樹の銀杏の新芽が好きです。色はまだ薄緑色ですが、指の爪ほどの大きさなのに、ちゃんと銀杏の葉のかたちをしていて、とてもけなげに思えます。

さてと、Poemusica Vol.4 のご報告です。2011年12月のVol.00から、今年は毎月第3木曜日に、下北沢Workshop Lounge SEED SHIPで開催している詩と映像と音楽のイベント"Poemusica"。この日は、ワイルドフラワーで飾られた会場で、4組の出演者が音と言葉を紡ぎました。

えぐさゆうこ&江草啓太。奄美諸島や、いまはもう唄う人が少なくなってしまった屋久島のトラディショナルソングを採集し、ピアノ演奏に乗せて、情感豊かに唄います。ボーカルのゆうこさんは愛媛生まれですが、父方のルーツが屋久島。島唄独特の節回しに、啓太さんのジャジーでダイナミックなピアノが重なると、ブルガリアン・ヴォイスにも似た東欧の響きを帯びるから不思議です。Cocteau TwinsKeith Jarrett のミッシングリンク。たったふたりで音圧が高く、多彩で分厚いアンサンブルを聴かせます。

オカザキエミさん(moqmoq)まえかわともこさん宮武理恵さん。普段は別々に活動している3人ですが、学生時代から10年来のなかよし。SEED SHIPのオーナーが茅ヶ崎でカフェを経営していたときに、砂浜の焚き火で演奏したメンバーなので「たきびバンド」。オカザキさんのコンサーティーナ(手風琴)とカリンバ(親指ピアノ)、まえかわさんのガットギター、宮武さんのフレーム・ドラムとベル、そしてオカザキさんとまえかわさんの声。ひとつひとつは素朴な音色なのに、重なり合った瞬間に奇跡的な輝きを放つ。Vol.2中ムラサトコさんとはまた違った原初の音楽。静謐なのにガーリィ。スイートで緻密。

3人の演奏中に誰かの携帯電話が鳴りました。そのとき、まえかわさんは「遠くでピアニカ弾いてる人がいる」と言いました。僕はこの夜この場所にいられた幸福感を客席で噛みしめていました。

2月からレギュラー出演者に加わったLittle Woodyこと植木克己くんもいまやPoemusicaに欠かせないキャラクターです。ユルくて、自由で、インテリジェントで、ジェントルで、キュート。「10年後に今夜の話をしよう」って。当日披露されたアニメーション作品『タコ兄弟』はYouTubeでも観られます!→http://www.youtube.com/watch?v=TvfnE7Yh9_o

2組のミュージシャンのリハーサルを聴いて僕は、予定していた演目を全部差し替えました。

イントロダクションとして、ウィリアム・サローヤンの小説『人間悲劇』(小島信夫訳)から、主人公の疾走シーン、21世紀の島唄として「離島/地下鉄を歩く」、そして「都市計画/楽園」、まえかわさんが唄う宮沢賢治作詞作曲「星めぐりの歌」に寄せて「無題(薄くれない色の闇のなか~)」。7篇ある「声」のうち昨年書いた一番新しいもの、最後に「バースデーソング」。当日会場に来てくれた誕生日のミュージシャンに。

それぞれ異なる資質と才能を持つ出演者たちをつなぐ縦糸になるのが、スタンドアローンで身軽な僕の役割なのかな。出演5回めにして、遅まきながらその方法をつかみかけてきました。

次回"Poemusica Vol.5" は5月24日(木)開催。小室みつ子さんの出演が決まっています。もちろん、Little Woody と僕も。どうぞお楽しみに!

 

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