お正月は映画館で過ごすのが恒例です。2019年はユナイテッドシネマ豊洲でブラッドリー・クーパー監督出演、レディー・ガガ(左利き)主演『アリー/ スター誕生』を観ました。
アリー(レディー・ガガ)は売れないシンガー。高級ホテルの配膳スタッフで糊口をしのぎ、週末はゲイクラブ"BLUE BLUE"のドラァグショーで歌っている。レコード会社のオーディションを受けても「鼻が大き過ぎてスターになれない」と言われて落とされる。ロックスターのジャクソン・メイン(ブラッドリー・クーパー)はアルコール依存症。移動中のリムジンが渋滞に巻き込まれ、酒を求めてたまたま入った "BLUE BLUE"で、アリーの歌うシャンソン「バラ色の人生」に涙してしまう。
ジュディ・ガーランド(1954)、バーブラ・ストライサンド(1976)らが主演し、何度も映画化された原作に基づくが、設定を現代に移して、楽曲もレディー・ガガとブラッドリー・クーパーが新たに書き下ろしています。ナレーションやモノローグを排し、回想シーンもない。音楽はほぼ演奏シーンのみ。役者の表情と科白、カメラワークと見事な編集で全てを語らせている。シンプリシティの勝利はクーパー監督の手腕。
加えて、ブラッドリー・クーパーが曲が書けて、歌えて、ギターも達者という驚きと、映画初主演のガガ様がこんなにもお芝居が出来るのかという驚き。
自己肯定感の低いアリーが初めてジャクソンのステージに呼び込まれ大観衆の前で自作曲 "Shallow" を歌い始めるときの不安で一杯な眼差し。オーセンティックなロックンロールからダンスミュージックにセルアウトしていく自分に対する恋人ジャクソンのアンビバレンツな想いを敏感に感じ取り、己の才能が愛する人を潰してしまうことに気づくアリー。
19歳で Def Jam Recordings と契約したガガ様にショービズ界で下積みのイメージはあまりないですが、それでも最初から世界的なスターだったわけではない。演技が本業ではないだけに、才能を信じ人並外れた努力で運を掴みステップアップしていった自身のキャリアをアリーに映じたはずで、我々もそのふたりを重ね合わせて観るというメタフィクションでもあると同時に、ガガ様がアリーという役を演じることで自己を再肯定する過程を観客と共有する感動的なドキュメンタリーフィルムと言ってもいいのではないでしょうか。
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