舞台は1977年。ロンドン郊外の寂れた街クロイドンで母親と暮す男子高生エン(アレックス・シャープ)は、地元のパンクバンド The Dyschords のライブの打ち上げ会場を見つけられない。窓から洩れる原色の照明とエレクトロニカに誘われて入った空家。そこで開かれていた6つのコロニーに属する異星人たちの摩訶不思議なパーティで出会った少女ザン(エル・ファニング)との48時間のロマンスを描くファンタジー。シャイ・パンクス meets 美少女エイリアン。
冒頭のシーン。主人公エンが自室で目覚め、パンク仕様にカスタマイズした制服に着替えて、道すがら金髪革ジャンのヴィク(A.J.ルイス)とサープラスのツナギ姿でぽっちゃり体型のジョン(イーサン・ローレンス)をピックアップして自転車3人乗りで疾走する。ザ・ダムドの "New Rose" に乗せたコマ落としのスピード感にアドレナリンが上昇する。
そしてパーティから一夜明け、公園ではじめてのデートをするザンとエン。このシークエンスのエル・ファニングの尋常ならざる可愛さ。2017年時点の全人類を代表する美少女が、常識からすこしずつずれた異星人ゆえの行為を演ずる。その破壊力は計り知れません。
エイリアンの6つのコロニーは各々シンボルマークとテーマカラーを持っています。ザンの所属するイエローの第4コロニーのマニフェストは「個性の尊重(individualism)」。それを一斉に唱和する様は individualism (個人主義)とは真逆のアイロニー。カンニバリズムはユースカルチャーを食い物にするマスメディアの隠喩か。
同コロニーで唯一のアジア系異星人を演じているのが、ロンドンとベルリンを拠点に活躍する Hinako Mastumoto さん。台詞こそありませんがひときわ目を引きます。
オリジナルスコアは Nico Muhly と matmos が担当しています。
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