2016年1月11日月曜日

ガラクタの城 vol.2

成人の日の夜は新高円寺STAX FREDへ。『新春!mue solo one-man live 「ガラクタの城 vol.2」』に行きました。

まず前半はエレピで9曲。最近では毎年4月11日周年ライブ以外はほとんどギターなので、mueさんのピアノ弾き語りをまとめて聴く機会はレア。かなり新鮮です(そういえば4年前にはじめて共演したときはアップライトピアノを弾いていました)。左手のクラヴィコードと右手のオルガン音に3声のコーラスをループさせて、コーダは逆回転サウンドというホワイトアルバム的サイケデリックな構成。

前半終わりは観客のハンドクラップに乗せて即興ソング。普通ならステージのミュージシャンが主導するところですが、イニシアチブはなぜか客席にある(笑)。

「だけど言いたいことは全部言っておきたい性格」(笑ってほしい)。

後半はいつものガットギターに持ち替えて、新曲も蔵出し曲もヒットパレードも並列に。ステージから「…楽しい?」って聞かれて、笑顔で大きく頷く僕ら。

完璧なライブなんてものは存在しない(完璧な絶望が存在しないようにね、と村上春樹なら付け加えるところ)。我々観客だって、完璧な演奏を聴きたいのならCDやレコードを聴けばいい。むしろ小さな綻びやためらいや言い淀みに演奏家の人間性を見る。そのためにライブに行くのだといっても過言ではない。

「なぜなら伝えたいことがひとつあるの。その鍵で扉が開く」(無題の新曲)。

だったらその綻びやためらいや言い淀みの部分を抽出し増幅させて、生のまま提示してみたらどうなるのか。自信なさげな姿を堂々と見せたっていいんじゃない? で、実際にやってみたら、予想を超えるチャーミングな何かが生れてしまった。そんなライブ。

それはもちろん曲の良さや透明感溢れる歌声、卓越した演奏力があってのことですが。周年ライブの細部まで構築されたエンターテインメント性と普段のブッキングライブのタイトなミュージシャンシップ、そしてこの『ガラクタの城』の魅惑のガラクタ感。トータルで見たらやっぱりmueさんは、優れたバランス感覚を持つ大人のミュージシャンなんだなあ、と思いました。


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