東京はひさしぶりのお天気。気温が急に上がりました。浅草吾妻橋のうんこビルといえばアサヒビールの本社ですが、あのフィリップ・スタルクの金色のオブジェが乗っているのは本社ビルではなくアサヒ・アートスクエアが入っている文化施設なのです。
会場に入るとほんのり材木と藺草の匂い。フローリングの床にはまばらに畳が敷かれ、大人も子供も靴を脱いでくつろいでいます。
Little Creatures のギター/ボーカルの青柳拓次さんとは1999年にポエトリーリーディングのコンピ盤でご一緒したご縁で、彼が山﨑円城さんと主宰していたオープンマイクBOOKWORMに何度もお邪魔しています。
川村亘平斎さんは、インドネシアとフィリピンとマレーシアの間にある架空の小さな島、ワラケ島の伝統音楽の演奏家、ガムラン、パーカッション、キーボード、影絵をひとりで操ります。その声はボーカルというより架空言語のスポークンワーズ。土着的な旋律と口承文芸を自在に行き来する。
それぞれのオリジナル曲を交互に演奏するスタイルですが、沖縄やハワイの音階を取り入れたアコースティックギター弾き語りの優美で滋味深い青柳さんのソロ曲に川村亘平斎さんがガムランや影絵で彩りを添え、川村亘平斎さんのループ主体の音響に青柳さんのギター、ウクレレ、シンセサイザーのオーガニックなサウンドが絡むことで、大地から発してスペイシーな高みへと観客を連れて行きます。途中ヒューマンビートボックスAFRA氏もハプニング的に登場して会場を沸かせました。
1980年代にブライアン・イーノが、デイヴィッド・バーンやジョン・ハッセルらとともに第三世界のビートを模倣して、白人主義的コロニアリズムと批判されたのも今や昔。エスニック・ミュージックはアジアの片隅で、こんなにも静かに可憐に花開いたのだなあ。終演後、会場を出て大川を渡る涼しい夜風に吹かれながら、そんな感慨に浸りました。
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