東京は遅い紅葉。12月の雨が上がって、気温が急激に下がりました。風邪など引いてはいませんか? どうかあたたかくしてください。
日暮里駅から雨上がりのゆるい坂道を上って下りて古書信天翁へ。今日は梨田真知子さんのフリーライブが開催されました。
10月22日のTachyonic Knuckleball Revueにゲスト出演していただいたのがご縁で今回のブッキングとなりましたが、これが事実上の初ソロライブ。それがライブハウスやホールやストリートではなく、書店で、というのがまず素敵。梨田さんの清潔で硬質な抒情を湛えた音楽にぴったりです。
倍音を多く含んだその声は、声量が豊かで音域が広いだけでなく、同じピッチでも歌詞に合わせて地声とファルセットを使い分けたりと、実はとてもスキルフルなのですが、それ以上にエモーションがまっすぐに聴衆の心臓に届くのは、歌うことに対する彼女の純粋な衝動が強く表れているからだと思います。
今回は書店ということを意識してか、いつもよりミディアム~スローテンポの多い選曲で、苦手だというMCも長め。そのぎこちなさがむしろチャーミングで、はじめ固かった客席の空気を図らずも和ませていました。
演奏されたのは全部で8曲。ワルツのオリジナル曲「くらげ」や2つのカバー曲、フィッシュマンズの「いかれたBABY」、アンコールで歌われた長澤知之の「狼青年」では、抑えた表現が逆に歌い手としての力量を表わしていました。どちらも良い曲です。
冬の海風を含んだような誰にも似ていない特別な声、叙情的で美しいメロディ、無駄のない歌詞とその歌詞以上に物語を感じさせる歌唱。音楽を聴く喜びを無心に味わった40分間でした。
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