すこし湿度が上がりました。東京メトロを乗り継いで、外苑前のギャラリー neutron tokyo でグループ展『来るべき世界』を鑑賞しました。
関西を中心に活躍する27組の若手作家が3.11以降に制作した作品群。足田メロウ、三尾あすか&三尾あづちの作品については以前このブログでも紹介しましたが、今回も素晴らしいものでした。
それ以外に、特に印象に残ったものをいくつか。
・中比良真子「overthere No.6」
このグループ展のDMにもなった上の画像です。真っ白なバックにところどころ点在しているのは、ピクニックをする家族やカップル。それを俯瞰で描いています。それぞれのグループ間の距離が、あえて干渉し合わない現代を描写しているよう。ハガキやPC画面ではわかりませんが、実物は1メートルを超す大作です。
・西川茂「oizumi」
細密画といってもいい具象的な風景画の中空部分に磁場の乱れのような抽象表現が重ねられ、空だけが歪んで見えます。控えめで調和の取れた色彩が一見画面に落ち着きを与えてシックといっても差し支えない程ですが、滲み出す狂気が鑑賞する者を不安にさせます。
・大和由佳「土地/嚥下」
今回の展示の中では震災の直接的な影響を最も感じました。瓦礫の破片が銀のスプーンとともに、水や牛乳の満たされたグラスの中を占めています。4点のオブジェを撮影した写真作品。最後のひとつは、瓦礫に付着した赤い染料が水に溶け出しています。
強大な自然災害とそれがもたらした人災。これらに対してアートが持つ直接的・具体的・短期的効用は、ほとんど無いと僕は思います。災害時でなくても、特に役立つものではないので、ことさら騒ぎ立てる必要もないのですが。
それでも作家は制作し、表現し続ける。インプットし、アウトプットする。そういう基本的な動作/行為を自覚し、体現している作家たちの作品の強さ・美しさは、必ず鑑賞する僕たちに伝わってきます。 それを受け取ることがアート鑑賞の楽しさなんだな、と再認識しました。 会期は8月14日(日)までです。
0 件のコメント:
コメントを投稿