■公演番号:322〈Viva 1685! バロック名曲+ベートーヴェン晩年のソナタによる祈りの時〉ホールC(エスプレッシーヴォ)12:00~12:45
アンヌ・ケフェレック(Pf)
マルチェッロ/J.S.バッハ:オーボエ協奏曲 ニ短調BVW974からアダージョ
ヴィヴァルディ/J.S.バッハ:オルガン協奏曲 ニ短調BVW596からラルゴ
J.S.バッハ/ヘス:コラール「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147
バロックの巨匠、J.S.バッハ、ヘンデル、スカルラッティの3人は1685年生まれの同い年。先輩マルチェッロとヴィヴァルディの器楽曲をバッハが鍵盤アレンジした2曲とその逆の2曲。ニ短調の曲群の歌謡性にシャンソンのオリジンを感じます。ベートーヴェンは苦難の果て1821年のクリスマスに第31番を脱稿、バッハの技法を借りて第3楽章をフーガで構成しました。76歳のケフェレックの静謐でありながら一音一音に魂を込めた演奏は技術の先にある手に触れられない何かを我々に示すものでした。
■公演番号:323〈室内楽で描くロマンとモダン、対照的な美〉
ホールC(エスプレッシーヴォ)13:45~14:30
アブデル・ラーマン・エル=バシャ(Pf)
ヴェーベルンが無調性に移行する前、1905年に23歳で書いた清新な小曲を若いカルテットが小気味よく料理する。弦楽四重奏曲のメカニカルな面白さを聴覚と視覚から堪能できます。ベテランピアニストが加わったシューマンはゆったりと波打つように。第四楽章の終盤に先程聴いたベートーヴェンのピアノソナタ第32番のフーガの音型がふたたび奏でられたのには心震えました。
■公演番号:335〈今夜は映画館で〉
ホールD7(カンタービレ)17:15~18:30
ジャン=マルク・ルイサダ(Pf)
ブラームス:主題と変奏 ニ短調
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調op.31
ピアニスト自身と家族の逸話と共に、映画のスチールを投影しながら、サウンドトラックに使用されたクラシックの名曲を弾くという趣向。ケフェレックとは対照的にざっくりした演奏でしたが、こんなリラックスしたプログラムもLFJならでは。上記9曲以外に、ニノ・ロータ「甘い生活」、スコット・ジョプリン「ソラース」、戦場のメリークリスマス、最後は「男と女」でまさかのダバダバダ・シンガロング、予定の75分に収まるはずもなく、お腹いっぱいの90分でした。
フェス最終日の夕暮れ時の寂寥感。サウダージを感じつつ帰途につく。今年も3日間たっぷり楽しませてもらいました。演奏家のみなさん、スタッフとボランティアのみなさん、ありがとうございました。
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