三寒四温。ユナイテッドシネマ豊洲でマイケル・グレイシー監督作品『グレイテスト・ショーマン』を観ました。
19世紀初頭の米東海岸。フィニアス・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は貧しい仕立屋の息子。出入りしていたお屋敷の令嬢チャリティ(ミシェル・ウィリアムス)に恋をする。チャリティは寄宿舎に入れられ、フィニアスは父の急死で孤児に。スリや万引きでなんとか糊口をしのぎながら、途絶えることなくチャリティに恋文を書き続ける。
という小さなロマンスは冒頭10分で成就し、妻となったチャリティとのあいだに二女をもうけたものの失業したバーナムはマンハッタンに露悪趣味な私設ミュージアムを開く。幼い娘の一言にヒントを得て始めたフリーク・ショーが大人気となり、英国ヴィクトリア女王に召喚されるまでになったが、バズればおのずとアンチが増える。
セレブレーション・オブ・ヒュマニティ。小人症、巨人症、多毛症、アルビノ、アンドロギュヌス、全身タトゥ、有色人種。ショーのキャストたちがみな魅力的に描かれています。金儲けのために見世物にした側面は否めませんが、マイノリティたちから目を逸らすことしかしない社交界の面々よりも、彼らに居場所と仲間と仕事を提供したことも確か。
それだけに、バーナムに裏切られたと思ったときのレティ(キアラ・セトル)たちの落胆と怒りをプライドに昇華した "This Is Me" はこの映画のハイライトのひとつ。また、アフリカ系の曲芸師アン(ゼンデイヤ)と劇作家フィリップ(ザック・エフロン)の切ない恋のサブストーリーも効いています。
ゴージャスな衣裳とセット、ダイナミックなカメラワーク、キレのあるダンス。ミュージカル映画の王道をテンポよくタイトに100分でまとめました。『ラ・ラ・ランド』のベンジ・パセックとジャスティン・ポールの作曲チームが手掛けた音楽は『ラ・ラ・ランド』のジャジーなソフトロックテイストとは事なり、こちらも王道のポップスです。
スティーブン・ミルハウザーの短編小説集『バーナム博物館』は、同作家の『イン・ザ・ペニー・アーケード』『エドウィン・マルハウス』と並んでかつて夢中になって読んだ作品です。あれから僕もずいぶん大人になって、こんなかたちで再会するとは思ってもみませんでした。
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