2017年9月16日土曜日

VAMOS ブラジる!?

毎年9月に開催される『VAMOSブラジる!? ♪音楽で結ぶ中央線ブラジル化計画♪』は今年で6年目。そのうち4回に観客として参加しています。今回は阿佐ヶ谷、西荻窪、吉祥寺の6店で2日間、72プログラムが開催されたうち、4公演を聴きに行きました。

ひとつめは西荻窪COCO PALM で Banda Choro Eletrico。今日は、ベース沢田譲治さん、ピアノ堀越昭宏さん、ドラムス沼直也さん、フルート尾形ミツルさん、トロンボーン和田充弘さん衣山悦子さん、スルドちっちさん、パンデイロRINDA☆さん、パーカッションサム・ベネットさん伊左治直さん坂本真理さんの11人編成。流動的なユニットには複数のボーカリストが参加していますが、今回は完全インストゥルメンタルです。リーダーの沢田さんが言うにはフランク・ザッパマーラーのハイブリッド。かなりスペイシー。ブラジルの伝統音楽であるショーロから出発して気づいたらずいぶん遠くまで来ていた。

中央線に乗って阿佐ヶ谷へ移動。2軒目はJAZZバーSTACCATO、ボーカルわきちかこさん、7弦ギター尾花毅さん、パンデイロ宮澤摩周さんのトリオによるサンバセッションを聴きました。広いレンジとダイナミズムを持つ尾花さんのギターの存在感。わきさんの正統的な歌唱はメロディがすっと入ってくる。Banda Choro Eletricoの強過ぎる刺激を中和する、我ながらナイスセレクションです。

そしてすぐ隣の駅ビルに入っているSoul玉Tokyoへ。カツヲスペシャル(画像)。カツヲは沢田譲治さんとボーカルまえかわともこさん(左利き)のデュオをベースにしており、今回はピアノ田尻有太さん(王子)、Banda Choro Eletricoからドラムス沼直也さん、トロンボーン和田充弘さんの2人を加えたクインテット。静寂。静謐さのなかに極限まで抑制されたグルーヴがひっそりと置かれている。5人から手渡される小さな音の重なりが美しく、その抽象性はある種の高みに到達しています。

でも、フルスロットルのまえかわさんも聴きたいよね。ということで最後は吉祥寺World Kitchen BAOBABで、THEシャンゴーズ。尾花毅さんが別のセッションに参加しており、まえかわともこさん、ギター中西文彦さん、パーカッション福井豊さんのトリオ編成。ガットギターにディストーションをかけてハウリング込みでループ。ノイズの奔流。カツヲの抑制美とは反対に、まえかわさんの歌はエモーショナルでパッショネート。自由過ぎる二人をアンアンブルに繫ぎとめる福井さんのカホン。立ち見も含めぎっしり埋まった客席も最後は「夜明けのサンバ」に大合唱で応える。アンコールではマツモニカさんが飛び入りし、座は一層盛り上がる。音楽の幸福な時間が生まれる場面に立ち会えた喜び。

ショーロ、サンバ、MPB、大なり小なりブラジル音楽の典型からはみ出したアクトを回りましたが、いずれもその狂騒的なリズムにはトラディショナルに対する確かな信頼とリスペクトが存在しています。それこそが2017年の東京でブラジル音楽を鳴らし、楽しむ意味だと、清々しい気持ちで中央線に乗り、帰途につきました。

 

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