蒸し暑い曇りの土曜日。ユナイテッドシネマ豊洲で武内宣之監督作品『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を観ました。
舞台は千葉県飯岡町茂下。海岸沿いの中学校の夏休みの登校日、夜には花火が上がる。典道(声:菅田将暉)は同級生のなずな(声:広瀬すず)のことが好きだが気持ちを伝えられていない。親友祐介(声:宮野真守)と競泳で勝負して、勝った祐介をなずなは花火に誘う。
1993年に岩井俊二が脚本監督し、当時15歳の奥菜恵が主演したテレビドラマを大根仁が新たに脚色、新房昭之(まど☆マギ)が総監督、シャフトがアニメーション制作。と、クレジットは豪華なのですが。
バカ男子たちの夏休み冒険ロードムービーとしても、トライアングル・ラヴ・ストーリーとしても、少年少女駆け落ち潭としても、タイムリープものとしても、中途半端でちょっと残念な結果に。タイムリープが不可抗力ではなく主人公の願望のみに基づいて起こるため、中二病の妄想にしか見えないことがその要因ではないかと思います。
シャフト制作だけあって映像はこれでもかというくらいきれいです。特に、海、プール、スプリンクラーなど、水の描写の美しさは2017年時点におけるアニメーション表現の最高峰と言ってもいいんじゃないでしょうか。
打ち上げ花火がどの角度から見ても丸いということに僕が初めて気づいたのは、1984年LA五輪の閉会式の空撮をテレビ中継で観たときです。それまではそんなことは気にもかけていませんでした。
「水の上の透明な駅のプラットホームで/君が見上げる花火を俺は/丘の上から視線の高さで眺めている」というフレーズが出てくる詩「水の上の透明な駅」を書いたのは2001年のことです。海上を滑るように渡っていく1両編成の列車の描写がアニメ版にありますが(1993年のテレビドラマ版は観ていないのでわかりません)、『千と千尋の神隠し』の類似シーンと中原中也の「言葉なき歌」(1936)を下敷きにしています。
0 件のコメント:
コメントを投稿