2014年8月23日土曜日

古川麦 × ノラオンナ @谷中ボッサ

前回、東日本大震災の年は中止になった諏訪神社の6年ぶりのお祭で、谷根千一帯の街路は赤い提灯がにぎやかです。日暮里駅から谷中ボッサに向かう道のりで子供神輿とすれ違いました。古川麦くんノラオンナさん。今年4月にPoemusica Vol.27で初共演したふたりのツーマンライブということで、これは見逃せません。

古川麦くんは、Doppelzimmer表現(Hyogen)の中心メンバーとして、またceroのサポートなど、八面六臂の大活躍中のギタリスト。ソロアルバム「far/close」をリリースしたばかりです。CDでは弦楽四重奏や管楽器を加えて、ダイナミック且つ優美な音楽を奏でていますが、ソロの弾き語りは力強くて端正。正確で精妙なガットギターと、ベルベットのような肌触りの唄声が魅力です。

対するノラオンナさんは洗い晒しの麻のような陰翳のある声。シャンソンやブルースの影響を感じさせるソングライティングに、日本語の可能性を追求しつつ、極限まで言葉を磨き上げた歌詞。独特のコード感を醸し出す繊細なウクレレ。

お互いがお互いの音楽に恋をしているような気持ちが店全体に満ちて、聴いている客席も幸福感に包まれました。大らかな麦くんの音楽は、遠い祭囃子や通り過ぎる自動車、キッチンで調理する音にもよく馴染みます。ノラさんが演奏を始めると皆が息を詰めて一音も聞き逃すまいとする。すると不思議なことに、生活音が自然と遠ざかって行く。

約30分ずつのソロ演奏のあと、それぞれのオリジナル2曲ずつとカバーを2曲、計6曲のデュオ演奏はふたりのユーモアが滲み出す楽しい時間でした。まだ歌詞のついていない麦くんの新曲をノラさんがスキャットしたのですが、これが一夜だけのことでなく、古川麦作曲、ノラオンナ作詞なんていう楽曲が生まれたらとても素敵だな、と思います。



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