2018年8月5日日曜日

TRIOLA

台風が近づいているせいか、猛暑はすこしだけ落ち着いていますが、湿度を余計に感じます。日曜夜、下北沢leteで開催されたTRIOLAのワンマンライブに行きました。

1曲目は「TR11」。須原杏さんのヴァイオリンのソリッドな重音が刻む等拍のリフに軟体的に絡む波多野敦子さんの5弦ヴィオラ。TR10番台は硬質でクラウト的な曲想に始まり演奏の後半は脱構築に向かう。

そこからMCをほぼ挟まず立て続けに前半6曲。第一期triolaではリアルに鳴らしていた手廻しサイレンは弦楽器の不協和音のポルタメントに置き換わった。

2016年再起動後のTRIOLAは、増殖と消滅を繰り返すインテンポの細かなリフレインを主軸に置いていますが、前半最後に演奏された新曲 "waves horn"(ホワイトノイズ抜きver.)には、しばらく封印していた哀愁の旋律が帰ってきて、また後半のいくつかの楽曲は従来の演奏より意識的にテンポダウンされ、且ついままでにないダイナミックなアチェレランドが取り入れられています。

会場限定のCD-Rも前回行けなかった5月のワンマンで一旦区切りとのこと。波多野さんの作曲は緻密に記述された調性の崩壊。新しいCOLORSシリーズは五線譜を用いず、写真と色彩を主題にした即興演奏で、ある種のアクションペインティングのような聖性を獲得している。

第一期triolaも再起動後TRIOLAもふたりのプレーヤーのタイム感の微細なズレからグルーヴを生んでいたのが、じわじわと重なりが強くなり、うねりに変わってきたこともあわせ、再起動後のTRIOLAが第二章に入ったように感じました。僕の知る範囲では、いま最もライブで体験すべき音楽ではないか、と思います。

 


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