金曜日の夜、都営地下鉄大江戸線と東京メトロ銀座線を乗り継いで外苑前まで。青山月見ル君想フで開催された高井息吹と眠る星座『世界の秘密』レコ発ワンマンライブ「秘密の世界」に行きました。
ライブ1~2曲目はCD『世界の秘密』と同じく「うつくしい世界」「Carnival」。whisper to a scream。その声と歌う姿の生命力に圧倒される。ジョージ・ガーシュインからハロルド・バッドまで、ピアノ演奏の引き出しの多彩さとそれを自らなぎ倒していくようなテンション/エモーション。
眠る星座の3人、ドラムス坂田航さん(ラヴミーズ)、ベース新井和輝さん(King Gnu)、ギター君島大空さん。ゲストミュージシャンにトロンボーンNAPPIさん、SAXムラカミダイスケさん、チェロ佐藤空さんというアルバムのレコーディングメンバーを揃え。それぞれがフレッシュで自由で技術が確か。即興演奏をジャストで合せられるのは勿論、CDではピアノ弾き語りの「ゆらゆら」では先鋭的なHIPHOPのアーティストのようにあえて縦を外してグルーヴを組み立てる。新曲「Mr.yellow」の半音下降の男声コーラスは『オペラ座の怪人』へのオマージュか。
高井息吹さんの音楽性や歌詞に描かれる心象風景は本質的には耽美で、ある種の虚無や諦観をしっかりと見つめている。そして何より素晴らしくまた特異なのは、自身の耽美な世界観を反転させ光を捉えようとする強固な意志とそれを実現するためのジャンピングボードとして強靭な音楽的基礎体力を併せ持つところです。
だから、J-POPのヒットチャートに並ぶような表層的なポジティヴィティは欠片も示さないのに、演奏している本人たちも会場を埋め尽くしたオーディエンスも輝かしい多幸感に包まれ肯定されている。
Roland RD-700GX(デジタルピアノ)を離れハンドマイクで歌った「ハローグッバイ」と本編の最終曲「star light」。レコ発でありながらCD未収録の新曲がこの日のハイライトに感じられたのは、彼女、彼らが既に次のステージに到達していることに他ならず、その前途を眩しすぎる程に明るく照らしていると確信しました。
0 件のコメント:
コメントを投稿