2026年10月8日木曜日

ベイ・シティ・ローラーズ ウッディ・ウッドが語る真実

アップリンク吉祥寺でパコ・ヒーローズ監督作品『ベイ・シティ・ローラーズ ウッディ・ウッドが語る真実』を観ました。

大英帝国スコットランドの首都エディンバラで1957年に生まれたステュアート"ウッディ"ウッドは、小学校で左利きを尼僧に咎められた。幼少期のカラー8mmフィルムが残っていることから、裕福な家庭に育ったと思われます。

ナット・キング・コールに憧れ、15歳のときに同級生とジャズトリオを結成した。ケルト音楽も好きでアンディ・スチュアートのレコードをよく聴いていた。地元の児童館で演奏していたところをベイ・シティ・ローラーズ(BCR)のマネジャーであるタム・ペイトンから声がかかり、17歳で加入した。

ベイ・シティ・ローラーズの初ライブはドンカスター。シェフィールド大学祭ではじめて黄色い声援を浴びた。1970年代後半に世界中のティーンエイジャーを熱狂させたアイドルバンドの誕生である。ハリー・ポッターの作者JKローリングもローラーマニアだったという。

ウッディが設立したThe Music Kitchenにより2007年に制作された本作は、ベイ・シティ・ローラーズというよりウッディが半生を自ら語るドキュメンタリーで、デジタル撮影なのはいいのですが、ズームするとモザイク状になる低解像度で、フッテージの希少性もないので、映画館で観なくてもいいかな、とは思います。

ボーカルのレスリーの尊大さに対して不満を貯めていたウッディが、コンサートのサックスソロのときに前に立ったレスリーを突き飛ばして解散するまでで映画の半分。残りはウッディのその後の音楽活動について(元BCRのダンカンと組んだKARU、南アフリカのヨハネスブルグで加わったNeil Solomon & The Passengersはどちらも悪くないバンドです)。最年長のアラン・ロングミュアー(左利き)脱退後に加入した人気メンバーのイアン・ミッチェルとパット・マッグリンは1mmも出てきません。

劇伴はウッディ自身がアコースティックギターでセルフカバーしたインストゥルメンタルバージョンのBCR楽曲で、これを聴くと本当に名曲ばかりだなと思います。"Saturday Night" "Yesterday's Hero" "Rock and Roll Love Letter" といったプロのソングライターが書いたヒットナンバーだけでなく、ギターのエリック・フォークナーとウッディが共作した "Just a Little Love" "Angel Baby" "Rock 'N Roller" などオリジナル曲もいいし、Dusty Springfieldの "I Only Want To Be With You" 、The Four Seasonsの "Bye, Bye, Baby" 、Raspberriesの "Let's Pretend" とカバー曲も実にセンスがある。

ベイ・シティ・ローラーズはザ・ビートルズの楽曲はカバーしていないと思いますが、終盤にギターインスト版の "In My Life" が流れるのは自分語りのご愛嬌といったところでしょうか。

 

2026年10月4日日曜日

SUNLIT POET VOL.2

秋晴れ。新木場でJR武蔵野線に乗り換えて約30分。新八柱駅から徒歩2分のSUNLIT BURGERさんで開催されてポエトリー・リーディング『SUNLIT POET VOL.2』に出演しました。

ご来場のお客様、SUNLIT BURGER大吾さん、共演者の皆様、主催者のURAOCBさんと君嶋復活祭さん、あらためましてありがとうございました。

8組のゲストにオープニングのURAさん、クロージングの君嶋さん、全10組のライブは3時間に及びましたが、いずれも熱のあるパフォーマンスで、インターバルのURAさんの選曲も良く、ハンバーガーが美味しくて、全体としてはゆったりとした空気感のライブでした。

僕は一番手で、オープンマイクや多人数のライブでは好きなポジションです。はじめてギャラを頂戴して朗読したのが1997年。今年2026年は30年目にあたるので、30年前に書いた「ANGELIC CONVERSATIONS」、20年前に書いた「無題(静かな夜~)」、10年前に書いた「花柄」、昨年出版した『過去の歌姫たちの亡霊』から「夜警 Billie Eillishに」、今年4月に刊行した『fragments』最終頁掲載の「日々」の5篇を朗読する、プチレトロスペクティブなセットリストで臨みました。

続くPENYOさんはグリーンのヘアメイクが印象的。音楽もされているということですが、今回の出演者のなかでは最も散文的な朗読だったと思います。大島健夫さんの安定感。ちょうど前週のTOKYOポエケットで購入した詩集『詩なのかもしれない』から2篇とその派生作品を聴けました。ぬくみりゑさんの圧巻のステージ。テキストの精度と声の良さ、感情の乗せ方、陰影。スキルとパッションが高い次元で結実しています。

リアをハムバッカーにカスタムしたレッドメタリックのムスタングで作ったループに乗せてリーディングする北村灰色さんは、tsu白ma yukoさんとのユニット白灰も。リヴァーヴの深い轟音に言葉が埋もれていく様子を鑑賞しながら、意味の溶解をイメージしつつ、それでも声は聴こえてきて人の存在を示す。そこにポエジーを見出そうとしているのかな、などと考えました。

坂本樹さんは、メタ認識を基盤に置いた自己言及の長編散文詩。あえてなのか、能動的に視野を狭めて集中を強いるような意志を感じました。最後、大林いくおさんはブラスボディのリゾネーターギターで弾き語り、トーキングブルーズ、ボトルネック、体温のある歌声。前後のアクトに自然にリスペクトを示す姿勢は見習いたいところです。

「きっとこの歌が終わるころ私たちは未来を失う」。2000年代前半からフリースタイルラップの影響もあり、若い世代を中心に散文化していった詩の朗読ですが、最近若干リバウンドがあり、カジュアルな筆致は保ちながら古典的な形式性に回帰しつつあるように思います。君嶋復活祭さんもそのひとりであり、彼女のセレクトで現在進行形のポエトリーを感じる日でもありました。

最後になりますが、君嶋復活祭さん、ShaLonさん、ご入籍おめでとうございます。お幸せに。