きれいな水辺で大人たちが寝転んでゆっくり聴けるようなライブ、という思いを込めて、Chiminさんが2024年5月に立ち上げた自主企画の第2回。ゲストに同じ西武鉄道ユーザーのノラオンナさんを招いたツーマンで、ふたりの共演は僕も出演した2016年6月のPoemusica Vol.48以来です。
長く熱い夏が終わり疲れが出ているというMCから始まったノラオンナさんの演奏には、フィジカル面でトップコンディションでない、ウクレレという楽器の構造上のハイポジションのピッチが甘い、といった通常はネガティブに捉えられる要素も取り込んで緩やかで大きな渦を起こすように、自身の音楽を美しく昇華させる強靭さがある。
現時点の公式最新版『ララルー』収録の楽曲で2004年のデビュー盤の2曲をバインドした終盤の「わたしの暮らしの音楽」「パンをひとつ」「少しおとなになりなさい」「愛を」の流れには、僕がノラさんのライブ演奏の最大の美点と考える緊張と弛緩の交錯に揺さぶられました。ソプラノ、テナー、バリトンの歴代のウクレレとの関係性の話も興味深いものでした。
現時点の公式最新版『ララルー』収録の楽曲で2004年のデビュー盤の2曲をバインドした終盤の「わたしの暮らしの音楽」「パンをひとつ」「少しおとなになりなさい」「愛を」の流れには、僕がノラさんのライブ演奏の最大の美点と考える緊張と弛緩の交錯に揺さぶられました。ソプラノ、テナー、バリトンの歴代のウクレレとの関係性の話も興味深いものでした。
Chiminさんの1曲目は「住処」。一番好きな楽曲です。加藤エレナさんのピアノとコーラス、井上"JUJU"ヒロシさん のフルートも透明で優しい。僕はおそらくライブでは初めて聴く「世界」「午後」の2曲は、こちらも2004年の1stミニアルバム『ゆりゆるり』から。同年デビューのノラさんとChiminさん、いずれも静謐さをその音楽の基盤に持つが、ベクトルは大きく異なります。
僕はどちらの歌詞もとても好きです。事象や風景のディテールを最少語数で描写し感情を浮き彫りにするようなノラさんに対して、Chiminさんは心象や抽象概念、手触りから感情にアプローチする。それはこの日Chiminさんがカバーした「悲しくてやりきれない」にも通じています。悲しんでいる自身の目に映るもの、自身の状態を歌っても、悲しみの理由、原因については触れない。
アンコールは、アイリッシュトラッドの "The Water Is Wide" をノラさんが日本語詞、Chiminさんが英語詞で歌いました。2016年1月の Kitchen Table Music Hour vol.4 では古川麦さんがつけていた上ハモをノラさんが歌ったのも大変感慨深かったです。
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