2025年6月24日火曜日

うたものがたり

熱帯夜。地下鉄を乗り継いで。門前仲町chaabeeで開催されたライブ『うたものがたり』に行きました。

ピアニストで世界100ヶ国以上の音楽を演奏しているワールドミュージッカー岡野勇仁さんの企画で不定期に開催しているシリーズに今回はChiminさんEri Liaoさんがご出演されました。

1曲目の「すべて」は、EP『流れる』のスローバージョン。裸足のChiminさんはギター弾き語りで、chaabeeの真っ白な壁を背景に澄んだ歌声がゆったりと響きます。続く「目と目」を聴くのは11年前の Poemusica Vol.26 以来か。今回MCで初めて作曲した歌と聞き、完成度の高さに驚愕しました。

Chiminさんは大阪生まれの在日コリアン3世、Eri Liaoさんは台日ハーフ、というセットを意識してか「海が好き」「ホロアリラン」のハングル楽曲のカバーを挟み、岡野さんとデュオの2曲、計7曲を歌いました。「」に岡野さんが付けたエレピのオブリガートが可憐で、スーパースローな「時間の意図」の和声は加藤エレナさんのクリスプなピアノプレイとはまた異なり楽曲にアトモスフェリックな広がりを添えています。

Chiminさんのコンディションも抜群で、歌声は陰影が更に深く、透き通るファルセットは伸びやか、Martinギターのブライトで繊細な音色も相俟って、初めて聴くみなさんの気持ちもしっかり掴んでいました。

Eri Liaoさんは岡野さんのエレピとデュオで。フォスターの「金髪のジェニー」北京語訳、常磐炭坑節、台湾の歌姫テレサ・テンのカバー、ゴスペルと幅広い楽曲群をアジア的な発声で次々に歌い継ぎます。博覧強記な岡野さんとのトークも楽しい。

台湾先住少数民族のタイヤル族がルーツのEri Liaoさんが操る咽喉声は、同じく台湾先住の海洋民アミ族の歌詞のないコール&レスポンスで構成された伝統曲のスキャットで、chaabeeの古いガラス戸を震わせて強烈な印象を残しました。「情熱傾けて取り組んでみよう」というカオリーニョ藤原さんの「人生の花」のカバーの突き抜けた明るさが眩しい。

会場のchaabeeさんは、2019年春に『同行二人 #卯月ノ朝』でお世話になったお店です。二階が住居スペースの町工場をリノベーションしたヴィンテージ物件は音響が素晴らしく、心地良く音楽に集中することができました。オーナーの藤田ミミさんにも久々にご挨拶できてよかったです。

 

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