台北市立第一女子高級中学は台湾で偏差値トップの名門女子高、緑色の制服が特徴です。シャオアイ(チェン・イェンフェイ)は受験に失敗するが、母(ジー・チン)の強い勧めで第一女子の夜間部に進学する。
入学式の日に先輩から聞いた第一女子特有の習慣「机友」、全日制と夜間部で同じ机を共有する同士、引き出しで手紙やお菓子をやりとりするという。すこし早めに教室に着いたシャオアイの机友はショートカットのクールな優等生ミンミン(クロエ・シャン)と顔を合わせる。手紙を通じて距離を縮めるふたり。やがて親友となり行動を共にするようになる。
シャオアイはミンミンに促され、制服を交換して学校を抜け出す。バイト先の卓球場に来た第一高校(男子校)理数クラスのルー・クー(チウ・イータイ)にシャオアイは一目惚れするが、ミンミンもバスケ部エースのルー・クーのことが気になっていた。
舞台は1997~99年の台北市。スマートフォンも携帯電話も出てこない。eメールは存在しモデムで接続するのが懐かしい。制服の緑色のシャツの左胸には、全日制は太陽の黄色、夜間部は月の白色で学級と生徒番号が刺繍されている。エドワード・ヤン監督の2000年公開作品『ヤンヤン 夏の想いで』の主人公の姉ティンティンも同じ第一女子の制服を着ており、同じ世界線にいると思うと趣深いです。
日本のアニメやドラマ、好きなハリウッドスターで意気投合し手紙を通じてお互いを知っていろいろな冒険を経験する序盤にわくわくさせられ、見栄でついた小さな嘘が取り返しのつかないほど膨らむ展開には胸が詰まります。場所取りをめぐり体育館で起こる全日制と夜間部のつばぜり合いにはハラハラしました。主人公たちと共に感情が揺さぶられるのは、思春期に同じような経験をしているからなのでしょう。自己肯定感の低いシャオアイにポジティブなミンミンがかける「今どこにいるかじゃない。(これから)どこに行くかよ」という言葉が染みます。
とてもよくできたビタースイートな青春映画で、あえて難点を挙げるとしたら、劇伴が常時鳴っていてちょっとだけうるさいかな、という点ぐらい。日本で実写リメイクするなら、実年齢はさておき、伊藤万理華さんと伊原六花さんでお願いしたいです。


