みどりの日。今日も東京メトロ有楽町線で、東京国際フォーラムへ。クラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025」、2日目は公演2本を聴きました。
■公演番号:221〈ピアノ・ソナタの世界は彼らに刷新される〉
ホールC(サン・マルコ)10:00~10:50
フランソワ=フレデリック・ギィ(Pf)
朝から牛たん定食みたいな感じの重量級のプログラムをフランスのベテランが漲るテンションで汗を拭き拭き弾き切りました。ギィ氏の「悲愴」の緩徐楽章の洒脱さはドイツや東欧のピアニストにはないテイスト。5楽章からなるブラームスの第3番は、感傷的な旋律を持つ2~3楽章にうっとり、第4楽章の壊れながら疾走するワルツは、世紀末ウィーンの混沌としたダンスフロアを想起させると同時に、ロマン派を自ら終わらせ、印象派に橋渡しをしているように聴こえました。
■公演番号:224〈交響曲? 協奏曲? それとも室内楽? パリ生まれの破格な名曲を聴く〉
ホールC(サン・マルコ)16:00~16:45
レミ・ジェニエ(Pf)
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)
こういうレア曲が聴けるのはこのフェスならでは。僕も生演奏は初めて聴きました。エルネスト・ショーソンは、フォーレより若くてドビュッシーよりは年上、フランクの弟子筋らしい浮遊感のある和声と途切れなく流れる旋律が持ち味。昨日も聴いたハンソン四重奏団に貴公子ジェニエとベテラン刑事の風貌のシャルリエが加わるが、曲調としては弦楽四重奏の伴奏付ヴァイオリン・ソナタ(時折四重奏に主役が交代する)といった風情。4~6人編成ぐらいが、ビジュアル面も含めアンサンブルの妙味がわかりやすくて楽しいです。
2公演の間にホールB5(アンドラージ)で、井上さつき氏による無料講演会「パリ万博からみた音楽史」を聴講しました。1855年から1937年の間にパリで6回開催された万国博覧会が音楽界に与えた影響の研究で、1889年の回でジャワ村におけるガムラン演奏と舞踊がドビュッシーやラヴェルら印象派の作曲家に衝撃を与えたのが主眼と思われますが、1867年開催時に当時新進気鋭のサン=サーンスを晴れ舞台からはじき出した最晩年のロッシーニの無邪気な老害ぶりに爆笑しました。
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