2018年4月11日水曜日

私の好きな。

風の強い水曜日。吉祥寺MANDA-LA2へ。mueさんのアニバーサリーワンマンライブ『私の好きな。』に行きました。毎年4月11日に同じ店で開催されるこのライブは今年が18回目とのこと。そのうち2013年以降、6回続けて来ています。

普段の弾き語りやデュオとは異なるフルバンド編成で年に一度のスペシャルなライブ。今年のメンバーは伊賀航さん(b)、タカスギケイさん(g)、muupyさん(per)とカルテット編成です。

二部構成の前半はジャズボサノバR&Bカバーから。「私の好きな。」というタイトル通り、本当に好きで歌いたい曲を選び、ギターを置いてハンドマイクスタイルで、オリジナル曲より高い跳躍を持つ旋律も伸びやかに澄んだ声でmueさんらしく歌う。

二部後半は高田渡カバー1曲以外はオリジナル曲で構成。最近1年で書いた曲と久しぶりに歌う初期作品中心のセットリストで、はじめて聴く楽曲も多く、楽しめました。ずっと前に書いたというめずらしくストレートなラブソングを歌う前にしきりに「恥ずかしい」と言っていて、ポップなシェルに収まっているから見えづらいだけで実は私小説的且つドキュメンタリー志向のソングライターなんだなあ、と思いました。

僕自身も恋愛をモチーフにした作品をほとんど書いていないのですが、それは恥ずかしいというよりも、自分の感情の動きを作品化することに興味がないからです。mueさんは逆の意味で誠実に自分と向き合って音楽を作ってきたのでしょう。でも歌にしてしまった時点でどんな実話もフィクショナルな性質を帯びるもの。恥ずかしがらずに歌いたい歌を歌ったらいいと思います。

去年一昨年の4.11ワンマンのぱーん! と開いた感じとは一味違って、My Favorite Thingsというテーマ性とドラムセットが入らない編成からか、プライベートな感触の残るライブでした。過去の自分もいて、迷っている自分もいて、いまは自身を見つめる時期。それをしっかり表現した結果、カラフルなアウトプットになったのもmueさんの誠実さのなせる術。心洗われるライブでした。



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